アバウトな創作工房

コラムランド お題「リサイクル」(2001年)改稿

地上にて、天上にて

  夜、闇に紛れて一台のトラックがやって来る。
  降りてきたのは二人の男。

男 1 誰もいないな?
男 2 あぁ、大丈夫だ。よし、降ろすぞ。
男 1 よっこらせ。これは?
男 2 そいつは冷蔵庫だろ。こいつは洗濯機だな。ほれ。
男 1 うっ、重いな。
男 2 しかしあれだな。何とか法案。
    あれの所為でこんな所まで捨てに来なけりゃならないんだから、
    政府も厄介な法律つくりやがったな。
男 1 要らなくなったモンに高い金払うヤツが何処にいるかってんだ。
男 2 全くだ。新しいモン買うだけでも金がかかるんだからな。
男 1 しかし、ここいらも、もうゴミでいっぱいになっちまった。
    そろそろ別の場所を探さないとな。
男 2 生きにくい世の中になったもんだ。
男 1 これで全部か? よし、ずらかるぞ……。

  トラックに乗りこんで急いで去っていく男たち。

  一方、こちらは雲の上、何やらひそひそと声がする。
  声の主は二人の天使。

天使1 しかし、あれだな。神様、厄介な法律をつくったな。
天使2 あぁ、あの何とか法案だろ?
    魂を再利用するって、つまりは輪廻転生を促進しようとかいうヤツ。
天使1 大体、大天使のウリエル様が手間賃なんか取るからいけないんだ。
天使2 死んじまったヤツの魂にいちいち高い金なんか払えるかってんだ。
天使1 全くだ。新しい人間を送り込むだけでも大変なのに……。
天使2 生きにくい世の中になったもんだ。
天使1 人間にとっちゃ、死ににくい世の中さ。
天使2 おっ!誰か死んだみたいだ。魂が二つ、こっちに来るぞ。
天使1 どうやらトラックで事故ったみたいだ。やれやれ、どうする?
天使2 やっぱ、このままどっかに不法投棄しとくか?
天使1 あー、これでまた二つ、幽霊の出来上がり……か。

■□■アトガキ
2001年当時は「家電リサイクル法案」というのが出されて話題になっていた。だからこそお題も「リサイクル」だったんだと思う。今じゃこの作品は時代遅れになってしまった感じは否めない。当時としては結構、皮肉たっぷりだったんだけど。もう当時ほどの強さじゃ伝わらないかもしれない。

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