キュクロープス

[ギリシア・ローマ神話]

【言語】Κύκλωψ(キュクロープス) pl. Κύκλωπες(キュクローペス)【古代ギリシア語】
 Cyclops(サイクロプス)【英語】

一つ目巨人

キュクロープスというのはギリシア・ローマ神話に登場する一つ眼巨人のこと。英語のCyclops(サイクロプス)という表記の方が知られているかもしれない。ギリシア・ローマ神話には二種類のキュクロープスが登場していて、ひとつが神々のようなキュクロープスたち。彼らは天空神ウーラノスと大地女神ガイアの息子たちで、額にひとつの眼しかなかった。その醜さから生まれながらにガイアの子宮に押し戻された。ゼウスらオリュムポスの神々がクロノス率いるティーターンの神々と戦ったときに、ガイアは彼らを味方にすれば勝利できるという予言をした。そのため、ゼウスはキュクロープスを味方にした。彼らは鍛冶仕事を得意としていて、ゼウスには雷霆を、ポセイドーンには三叉の戟を、ハーデースには隠れ兜を与えた。これらのアイテムにより、オリュムポスの神々は勝利を治めることができたのである。これらのキュクロープスたちは鍛冶の神ヘーパイストスの指導のもと鍛冶仕事を行ない、神々のためにさまざまな武具(アポッローンの弓、アテーナーの鎧など)を製作したという。もうひとつのキュクロープスは『オデュッセイア』などに登場する人喰い巨人。有名なのはポリュペーモスで、シチリア島に漂流してきたオデュッセウスの部下を6人喰らった。そのため、オデュッセウスに眼を潰されている。

これら二種類のキュクロープスが同じものなのか否かは定かではない。近年のゲームでは後者の怪物キュクロープスが登場することが多いが、『AD&D』などのようにグレーター・サイクロプスとレッサー・サイクロプスとして区別している例もある。