エント

[近代創作]

名称 Ent(エント)《巨人》[ローハン語](中つ国の言語)
Onodrim(オノドリム)[クウェンヤ語](中つ国の言語)
容姿巨人。樹木に似た姿。
特徴長寿。温厚。気長。ただし怪力。
出典トルキーン『シルマリルの物語』『指輪物語』ほか

太古から中つ国に棲む樹人族!?

エントはトルキーン(John Ronald Reuel Tolkien,1892年~1973年)の『シルマリルの物語(The Silmarillion)』(1977年)や『指輪物語(The Lord of the Rings)』(1954年~1955年)に登場する樹人族のこと。樹木に似た姿をした巨人族で、手は枝、足は根といった感じ。大昔から中つ国に存在していたとてもとても古い種族である。

その昔、植物を創造した女神ヤヴァンナ(Yavanna)が、人間やドワーフ(Dwarf)、エルフ(Elf)たちによって植物が傷つけられることを危惧し、特に成長の遅い樹木を守護するように願った。この願いがエル・イルーヴァタール(Eru Ilúvatar)《万物の父》に聞き届けられて誕生したのがエントなのだという。だから、エントは樹木たちの守護者であり、樹木に仕事を教え込んだり、悪さをしないように躾(しつ)けたり、外の世界の者に樹木が伐り倒されないように護ったり、その方法を教えたりしたのである。

彼らは非常に長寿である。『指輪物語』には、エントの長老である「木の髭(Treebread)」フォンゴルン(Fangorn)が登場しているが、彼なんかは6000千年も生きている。そのため、エントたちは皆、非常に気が長いことで知られる。彼らはとてもゆっくりと喋るので、聞いているこっちまで疲れてしまうという。また、非常に温厚な一族としても知られていて、あまり怒ることもない。しかし、彼らは岩をも容易く砕くことができるほどの怪力の持ち主で、一度、怒り出すと、非常に恐ろしい存在でもある。弓矢も毒も効かず、火を放つくらいしか倒す手段はないのだという。

滅びゆくエント族!?

大昔には、エントたちは、エントワイフ(Entwife)という女性のエントを妻にしていて、エンティング(Enting)という子供を設けていたという。しかしエントが古い森を愛し、森の中を彷徨うのと違って、エントワイフたちは草花を育てることに興味を持ち、森の外へ出て行ってしまったという。その後、戦争があったりして、エントワイフたちの行方は分からなくなってしまった。そのため、エントの一族は殖えなくなってしまい、滅びゆく一族になってしまっている。

エントの仲間、フオルン!?

トルキーンの作品には、エントのほかに、フオルン(Huorn)という樹人族もいる。彼らは普通の樹木(喋らないし動かない!)とエントたちとのちょうど中間的存在で、普通の樹木と違って自分で動き回ることはできるが、エント以外の種族と話すことはできないという。エントが長く生き過ぎて普通の樹木のようになったものだとも、あるいは普通の樹木がエントと交わり過ぎたためにフオルンになったのだともされている。

版権の関係で「トレント」に!?

ちなみにテーブルトークRPGの『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeons & Dragons)』(1974年)には、エントそっくりの「トレント(Treant)」という樹人族が登場する。当初は「エント」の名称そのまんまで登場していたが、版権の関係で途中から「トレント」という名称を用いている。この『D&D』の影響を受けて、近年のファンタジー小説やゲームなどでは「トレント」という名称で登場することも多い。

ちなみに、同様の理由で『D&D』では、ホビット(Hobit)をハーフリング(Halfling)、バルログ(Balrog)をバロール・デーモン(Balor Demon)と名称変更して使用いる。

《参考文献》