カトーブレパス
[中世博物誌]
【言語】Catoblepas(カトーブレパス)【ラテン語】
(※ Κατάβλεψ(カタブレプス),Κατωβλέπων(カトーブレポーン)《下を見るもの》【古代ギリシア語】)
睨まれた者は絶命?!
カトーブレパスは古代ローマの著述家プリーニウス(Gaius Plinius Secundus)が1世紀頃に書いた『博物誌(Naturalis Historia)』が紹介する怪物。西エティオピアに棲むとされた、ヌーのような姿をしているという。頭部がとても重いため、いつもうつむいている。そのため、《下を見るもの》というカトーブレパスという名前を与えられたようだ。バシリスクと同様に、邪眼を持っている。赤い瞳で睨まれた者は一瞬で絶命する。また、毒の息を吐いて周囲の動物や植物を死に至らしめるとも言われている。19世紀の作家フローベール(Gustave Flaubert)の『聖アントワーヌの誘惑(La Tentation de Saint Antoine)』(1874年)では、黒いバッファローに似て、ブタのような頭を持ち、腸のような細長い首をした怪物として描かれた。頭を持ち上げられず、いつも腹ばいになって首をごろごろと転がすしかない。お陰でその瞳が持つ破壊力は発揮されないという。