キマイラ

[ギリシア・ローマ神話]

【言語】Χίμαιρα(キマイラ)【古代ギリシア語】

奇ッ怪な合成獣!?

キマイラはギリシア・ローマ神話に登場するライオン、ヤギ、ヘビなどの動物が組み合わさった奇怪な姿をした怪物のこと。怪物テューポーンとエキドナの娘で、ライオンの頭と前脚、ヤギの胴体と後脚を持ち、尻尾の部分はヘビの頭になっていて、背中からはにょきりとヤギの首がはえている。口からはゴゥゴゥと炎を吐き出す。リュキアの火山帯に棲息し、近隣の村々を襲っていた。そこで、英雄ベッレロポンテースがペーガソスにまたがってリュキアに向かい、この怪物を退治した。

ライオンのたてがみ、ヤギの立派な角を有していて、外見は牡ライオン、牡ヤギの特徴を備えているものの、実のところキマイラ本人は牝で、双頭の猟犬オルトロスとの間に子供をスピンクス、ネメアのライオン、クロミュオーンのイノシシなどの子供たちをもうけている。実際、壷絵などに描かれるキマイラの絵を見ると、キマイラの胸元には牝ヤギの乳房がずらりと並んで描かれている。アポッロドーロスはこの不思議な姿について次のように説明している。すなわち、リュキアの山頂にはライオンが棲み、中腹にはヤギが棲み、そして山麓にはヘビが棲んでいたという。キマイラはそこに棲んでいたため、いつの間にかそのような姿になってしまったというのだ。現代の遺伝学では、キマイラのように異なる種の細胞を併せ持った生物のことを「キメラ」と呼んでいる。