エケネーイス

[ヨーロッパ伝承][博物誌伝承]

名称 Ἐχενηίς(エケネーイス)《船を捕えるもの》【古代ギリシア語】
Remora(レモラ)《遅れ》【ラテン語】
容姿青白い小さな怪魚。頭の上に吸盤がある。
特徴怪力の持ち主。吸盤で船に張りついて船を足止めする。
出典プリニーウス『博物誌』ほか

たった1匹で巨大な軍艦が動きを止める怪魚!?

エケネーイスはギリシアやローマで信じられていた怪魚。岩礁などに群れる15センチメートル足らずの青白い小さな魚だが、頭の上に軟骨でできた吸盤があって、その吸盤で船体に張りついたという。怪力の持ち主で、400人の漕ぎ手がいる巨大な軍艦ガレーであっても、たった1匹のエケネーイスのせいで動かなくなったという。

紀元前31世紀、アクティウムの海戦で、アントニウス軍とオクタウィアヌス軍が争ったが、アントニウス軍の軍艦が予定どおり出航できなかったのは、1匹のエケネーイスがいたせいだったとされる。

ちなみにRemora(レモラ)といえば現在では英語で《コバンザメ》のこと。Echeneis(エケネイス)はコバンザメの学名にもなっている。