マンディコーラース
[ヨーロッパ伝承]
Μαντιχώρας(マンティコーラース)【古代ギリシア語】 Manticore(マンティコラ)【英語】 ※ martya《人間》とxwar《喰らう》【古代ペルシア語】に由来。 | |
容姿 | 人面のライオン。毒針のついた尾。 |
特徴 | 人喰い。人真似をする。 |
出典 | クテーシアス『インド誌』,プリーニウス『博物誌』ほか |
インドに棲む恐ろしい人喰いの怪物!?
マンティコーラースは人喰いの怪物。古代ギリシアの著述家クテーシアス(Κτησίας)が『インド誌(Τα Ἰνδικά)』の中で紹介している。ほかにもパウサニアス(Παυσανίας)、アリストテレース(Ἀριστοτέλης)やプリーニウス(Gaius Plinius Secundus)も著作の中でこの怪物を紹介している。
マンティーコーラースはライオンに似た身体に人間の顔と耳がついていて、インドやマレーシア、インドネシアなどの森林地帯に棲んでいたという。尾の先端には毒針がついていて、身体は赤い色、歯は三列に並んでいたという。ラッパのような鳴き声で鳴き、人肉を好んで喰らう。尾はサソリのように針が1本ついた毒針という説と、栗のイガのように四方八方に向かって針がはえていて、この毒針が飛び散って相手を仕留めるという説がある。
マンティコーラースというギリシア語は、人喰いを意味する古代ペルシア語のMartya Xwarに由来するものと思われる。アジアに棲息するベンガルトラの異称で、人を喰らうトラの恐ろしいイメージが一人歩きして、このような怪物になったのだろうとされている。