蒙古高句麗(モクリコクリ)

[日本伝承]

名称 蒙古高句麗(モクリコクリ,ムクリコクリ)【日本語】
特徴蒙古軍と高麗軍の亡霊

日本を襲う蒙古軍、高麗軍の亡霊!?

蒙古高句麗(モクリコクリ)は和歌山県に伝わる妖怪。3月3日には山に出没、5月5日には海に出没するという。麦畑に出没するときには人間の姿をしていて、一瞬で大きくなったり小さくなったりして現れたかと思うと消えるという。神子浜ではイタチのような姿で、夜の麦畑に出没して尻を抜くという。海に現れるときにはクラゲのような姿で群れて漂い、船に悪さをするという。どうも正体不明の妖怪である。伸び上がり、河童、船幽霊など、日本のいろいろな妖怪がごちゃまぜになったような印象がある。けれども、この言葉の起源は比較的明らかにされているようで、この妖怪は、1274年と1281年、2回に渡って日本を襲った蒙古軍と高麗軍に由来するとされている。彼らの残虐な振る舞いから「蒙古高句麗の鬼が来る!」などと、当時、人々は彼らを怖れたという。このことから子供を持つ親たちは、言うことを聞かないわがままな子供に対して「蒙古高句麗の鬼が来るぞ!」などと脅しつけるようになったのだという。そのため、蒙古高句麗はこの元寇のときに水死した蒙古軍、高麗軍の幽霊だと説明されることもある。

蒙古来襲の舞台は九州北部。対馬や壱岐、博多湾などで、幕府は大宰府に軍を集結させて蒙古軍、高麗軍と戦った。これがどうして和歌山県で妖怪になったのかはよく分からない。また、津軽地方で「モッコが来るぞ!」などと子供たちを脅しつけるために用いられる言葉も、蒙古(もうこ)に由来するとされているので、蒙古高句麗の鬼は各地に広まっていた妖怪だったのだろうか。