ヌラリヒョン
[日本伝承]
【言語】滑瓢(ヌラリヒョン),ぬらりひょん,ぬうりひょん【日本語】
【容姿】頭頂部の大きな老人。
【特徴】家の中に勝手に入り込み、茶を啜る。妖怪の総大将とも。
【出典】『化物づくし』『百怪図巻』『画図百鬼夜行』ほか
妖怪画に描かれる正体不明の好々爺!?
『化物づくし』や『百怪図巻』、『画図百鬼夜行』などには、しばしば後頭部の異様に大きな坊主頭の謎の老人が描かれる。上品な着物や袈裟をまとっているが、何の説明も付されていないため、どんな妖怪だったのかさっぱり分からない。それがヌラリヒョンである。広辞苑によれば、滑瓢(ぬらりひょん)とは「①「ぬらりくらり」に同じ。②瓢箪鯰 (ひょうたんなまず)のようにつかまえどころのない化物」とある。その名前の通り、ぬらりくらりとしていて、掴みどころがない妖怪なのである。
ヌラリヒョンは妖怪の総大将!?
近年の妖怪本を読むと、他人の家に勝手に上がり込み、まるで家人のように当たり前のようにお茶などを飲んで寛いでいる。そしていつの間にか何処かへいなくなってしまうなどと書かれている。しかし、これらの特徴は佐藤有文や山田野理夫などの後代の作家が、妖怪画を見ながら創作したものであるらしい。また、妖怪の総大将などとされることもあるが、これも藤沢衛彦の創作であるようだ。鳥山石燕によって描かれたヌラリヒョンは上品な着物をまとい、辻駕籠から降りてきている。妖怪にしてはビップ待遇ではある。しかしながら、ヌラリヒョンは妖怪画などにその絵が残されているだけで、実際にはどのような妖怪なのかは分かっていない。
『ゲゲゲの鬼太郎』では悪の妖怪の総大将という設定になっていて、現在では、このイメージが強い。『ぬらりひょんの孫』という漫画もあって、妖怪の総大将として、多くの妖怪たちを引き連れて百鬼夜行を組んでいる。