塗壁(ヌリカベ)
[日本伝承]
塗壁(ヌリカベ)【日本語】 | |
容姿 | 壁のような姿。 |
特徴 | 山道などで通行人の通行を邪魔する。 |
前に進むのを邪魔する妖怪!?
塗壁(ヌリカベ)と言えば、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズに登場する大人気キャラクターだが、もともと九州地方の妖怪。福岡県遠賀郡(おんがぐん)では、夜、一人で海岸近くを歩いていると、突如、通り道を塞ぐように、目には見えない壁が出現する。壁の横を通り抜けようとしても、壁はどこまでもどこまでも横に続いているため、前に進むことができない。慌てて壁を叩いたりしても、消えることはない。そんなときには、落ち着いて壁の下の部分を棒で突いたり払ったりすると、消えてしまうという。これが塗壁である。大分市佐伯市に伝わる塗壁の場合は、突然、目の前が真っ暗になるといい、その正体はタヌキで、タヌキが目を塞ぐからだという。
水木しげるは、土壁から小さな手足を生やし、小さな目がついている愛らしいキャラクターとして描いた。そして、左官屋のコテを持っていて、名前の示すとおり、何でも自分の身体に塗り込めてしまう。近年の妖怪解説書などでは、この水木しげるの着想を塗壁本来の能力であるかのように解説しているものもある。
2007年に、耳の垂れた三つ目の白い犬で描かれた「ぬりかべ」という妖怪画が発見された。しかし、この絵に描かれた不思議な怪物と、妖怪の塗壁とが同一のものかは不明である。