スキアープース

[中世博物誌]

【言語】Σκιάπους (スキアープース)、pl. Σκιάποδες(スキアーポデス)《影足》【古代ギリシア語】
    Monocolus(モノコールス)、pl. Monokoli(モノコーリ)【ラテン語】
   ※μονόκωλος(モノコーロス)《一本足》【古代ギリシア語】に由来

自分の巨大な足を日傘にして居眠りする民族!?

スキアープースというのはギリシア・ローマ神話に登場する一本足の人種のことだ。日本語では「モノコリ」とか「スキアーポデス」みたいな複数形の形で知られているが、ここでは単数形の形にして紹介している。プリーニウスの『博物誌』によれば、彼らはインドの近辺に棲む一本足の種族で、一本足なのに驚異的なスピードで跳ね回ることができるという。暑い日には、まるで日傘のように大きな足を自分たちの身体の上に翳して地面の上に寝そべって眠るという。この特徴から「σκιά(スキアー)《影》」と「πούς(プース)《足》」を組み合わせた「Σκιάπους(スキアープース)《影足》」という名前で呼ばれているのである。ラテン語ではMonocolus(モノコールス)と呼ばれることが多いが、これはそのまんま《一本足》という意味の古代ギリシア語「μονόκωλος(モノコーロス)」に由来する。プリーニウスはインドに棲むと紹介しているが、14世紀の旅行家ジョン・マンデヴィルは『東方旅行記』の中で彼らがエティオピアに棲むとして紹介している。中には水掻きを持つスキアープースもいるらしい。