スキュッラ
[ギリシア・ローマ神話]
【言語】Σκύλλα(スキュッラ) Σκύλλη(スキュッレー)【古代ギリシア語】
崖の上から長い首を伸ばして船乗りを喰らう!?
スキュッラというのはギリシア・ローマ神話に登場する女性の怪物のこと。シチリア島とイタリアの間にあるメッシーナ海峡と呼ばれる海峡に棲んでいて、そこを通る船を襲っては乗組員を喰らった。スキュッラは、上半身は美しい女性の姿をしているが、下半身はサカナの尾を持った怪物で、腰元からは6匹のイヌの前半身が生えていた。そしてこの6匹のイヌたちが長い首を伸ばして船乗りたちを甲板からさらって喰らうのである。スキュッラはもともとは普通の人間、あるいはニュムペーだった。けれども、海神グラウコスに見初められる。魔女キルケーはグラウコスを一方的に愛していたため、スキュッラに嫉妬し、呪いをかけて彼女を怪物の姿に変えてしまったのである。
スキュッラのいるメッシーナ海峡には、彼女以外にも怪物がいる。スキュッラのいる岸とは反対側の岸には大渦を引き起こすカリュブディスという怪物がいて、1日に3回、船もろとも大量の水を呑み込んでしまうとされた。そのため、船乗りたちにとってこのメッシーナ海峡は非常に難所であったという。