ヴォジャノーイ
[スラヴ伝承]
【言語】Водяно́й(ヴォジャノーイ,ヴァジノーィ)【ロシア語】
【容姿】変幻自在。青い顔、白い髭(ひげ)の老人。鱗や鉤爪(かぎづめ)を持つことも。巨大な魚、アザラシやカエルのような姿とも。
【特徴】水の精霊。河川の近くにいる人間を水中に引きずり込んで喰らう。洪水を引き起こす。
人を喰らい、洪水を引き起こすロシアの恐ろしい水の魔物!?
スラヴ伝承に登場する男性の水の精霊。青い顔で白いひげを生やし、緑色の髪の毛をした老人だという。しかし鉤爪を持ち、鱗に覆われた老人だったり、巨大な魚の姿だったり、あるいは苔の生えた丸太だったりと、その姿は変幻自在である。その名前はロシア語で《水》を意味するвода́(ヴォダー)に由来する。非常に危険な性格で、河川などに棲み、水門や堤防などを破壊し、洪水を引き起こす。また、不用意に水辺にいると、足を掴んで水中に引きずり込み、水に落ちた人間を貪り喰う。ヴォジャノーイが人間に悪さをしないように雄鶏を生け贄に捧げて宥(なだ)めたという。また、水の底には光り輝く立派な宮殿があり、ヴォジャノーイはそこに棲んでいるのだという。
イラスト:ビリービンが描いたヴォジャノーイ
ちなみに20世紀初めのロシアの画家ビリービン(Ива́н Яковле́вич Били́бин)はアザラシのような、カエルのような姿をした不気味なヴォジャノーイを描いている。