幽谷響(ヤマビコ)

[日本伝承]

名称幽谷響,山彦(ヤマビコ)【日本語】
容姿小さなサルのような姿。
特徴山の中で人間の声を真似て返す。
出典『百怪図巻』,『画図百鬼夜行』ほか

「ヤッホー」と叫べば「ヤッホー」と返す!?

幽谷響(ヤマビコ)は山の中で人間の声などを反響させる妖怪。サルのような子イヌのような小動物の姿で描かれることが多い。「山彦」と書かれることも多いが、「彦」という字は本来は「日子」と書き、日の神である天照大御神(アマテラスオオミカミ)の子孫であることを示す。したがってヤマビコ現象が山の神さまの仕業と考えられていたことに由来する。次第に山の中に棲む妖怪の仕業と考えられるようになり、山童(ヤマワロ)、玃(ヤマコ)、彭侯(ホウコウ)などの山の妖怪のイメージを取り込みながら、『百怪図巻』や『画図百鬼夜行』などの妖怪画に描かれるような小動物の妖怪になっていったものと考えられる。

ヤマビコ現象の正体としては、山の神さまや上述の妖怪以外にも、樹木の精である木霊(コダマ)の仕業だとか、呼子(ヨブコ)という鳥の妖怪の仕業であるとか、あるいは山彦岩(ヤマビコイワ)という岩の仕業であるなどと、地域によってさまざまに言われる。