ヘーパイストス

[ギリシア・ローマ神話]

名称Ἥφαιστος(ヘーパイストス)【古代ギリシア語】
Vulcānus(ウゥルカーヌス)【ラテン語】
容姿醜い姿。両足が曲がっている。ハンマーとやっとこを持つ。
特徴火と鍛冶の神。神々の所有するさまざまな道具や武器をつくる。
出典アポッロドーロス『ビブリオテーケー』ほか

醜さゆえに海へと突き落とされた鍛冶の神!?

ゼウス(Ζεύςとへーラー(Ήρα )の子。火と鍛冶の神で、ハンマーややっとこを持った姿で描かれる。ゼウスが他の女神たちとの間に優秀な子供を産むのに焦ったヘーラーが産んだ子だが、その姿は神々の中で最も醜いとされ、背は低く、両足は曲がっていた。そこで腹を立てたヘーラーによって天界から海へと落とされてしまった。そのため、ヘーパイストスは海の女神テティス(Θέτις)によって育てられた。

成長し、天界に戻ったヘーパイストスは母・ヘーラーに素晴らしい椅子をつくってプレゼントした。あまりの出来栄えに喜んだヘーラーが椅子に座った途端、ヘーラーは椅子に縛り付けられて身動きが取れなくなってしまった。こうしてヘーパイストスは復讐を果たしたのである。その上、神々の中で一番美しいとされるアプロディーテー(Ἀφροδίτη)を妻に娶ることを約束させた。

ヘーパイストスはこの椅子だけではなく、神々の持つ不思議な武器や装身具、宮殿などを造っている。一眼巨人のキュクロープス(Κύκλωψたちを従え、シケリア(シチリア島)の火山地帯の工房でさまざまな道具や武器をつくっている。